体の不調図鑑

産後の骨盤のゆるみ

出産のあと、骨盤まわりが不安定になり、腰痛・恥骨や脚の付け根の痛み・尿もれ・お腹のたるみなどが起こりやすい状態。「骨盤矯正」と呼ばれるケアの多くは、骨盤を支える筋の働きを取り戻すことが中心です。

3Dで原因の筋と対策を見る 無料で見られます

抱っこで腰を反らせて立つの姿勢を3Dの筋肉モデルで表示した画像。原因になっている筋を、弱い(緑)・こっている(オレンジ)・縮んでいる(紫)に色分けし、痛む場所を赤く光らせて示している

体の中で起きていること

  • 腹横筋・骨盤底筋・多裂筋がゆるみ、骨盤を内側から支えられない
  • 代わりに腰の筋ががんばって、こっている
  • 抱っこで腰を反らせ、股関節の前が縮んでいる

痛む場所

腰の下〜骨盤の後ろ恥骨

きっかけ

  • 妊娠中のホルモンの働きで、骨盤の靭帯がゆるむ
  • 出産で、骨盤の底を支える骨盤底筋が引き伸ばされる
  • 妊娠でお腹の筋が引き伸ばされて弱る(左右の腹直筋の間が開く「腹直筋離開」も)
  • 抱っこ・授乳での前かがみや反り腰、片側だけでの抱っこ

原因と対策

原因の筋の状態(弱い・こっている・縮んでいる)ごとに、対応する対策(使う・ほぐす・ストレッチ)を組にしています。「中心」は、この不調でとくに大切な組です。

体操を始める時期は、産後の1か月健診などで医師に確認してください。帝王切開のあとや、お腹の中央が縦に盛り上がる(腹直筋離開が大きい)場合は、上体を起こす腹筋運動(クランチなど)は控え、医師や助産師、理学療法士に相談しましょう。

原因弱くなっている(うまく使えていない) 中心

  • 腹横筋
  • 骨盤底筋群

関連: 多裂筋・腹直筋・大殿筋

対策使う(鍛える)

骨盤底筋の体操とドローインで、ゆるんだ筋を働かせる

骨盤底筋の体操
あお向けで膝を立て、尿や便をがまんするように、肛門と腟(尿道)をきゅっと締めて体の中へ引き上げ、5〜10秒キープしてゆるめる。10回を1日に数セット。お尻や太ももには力を入れない。
対象: 骨盤底筋群
ドローイン(お腹の奥を使う)
あお向けで膝を立て、息を吐きながら、おへそを背骨に近づけるようにお腹をへこませて10秒キープ。腰は床につけたまま、呼吸は止めない。
対象: 腹横筋
あお向けで膝を開く(右)
あお向けで両膝を立て、骨盤を動かさないようにして、右膝をゆっくり外へ開いて戻す。 腰が浮いたり骨盤が傾いたりしない範囲で。横向きに寝て膝を開く「クラムシェル」も同じ筋を使います。
おもに中殿筋・大殿筋・股関節を外にひねる筋

原因緊張が続いて、こっている

  • 脊柱起立筋(腰)
  • 腰方形筋

関連: 僧帽筋 上部

対策ほぐす

腰の両わきと首の付け根をほぐす

腰の両わき(脊柱起立筋・腰方形筋)
あお向けで膝を立て、腰の横(背骨の両わき)にテニスボールを置いて、体重を少しずつかける。背骨の真上には置かない。
対象: 脊柱起立筋(腰)・腰方形筋
首の付け根(僧帽筋上部・肩甲挙筋)
反対の手で肩の上の筋をつかみ、肩をゆっくり回しながら30秒ほどもみほぐす。温めてから行うと効果的です。
対象: 僧帽筋 上部・肩甲挙筋

原因縮んで硬くなっている

  • 腸腰筋(大腰筋・腸骨筋)

関連: 脊柱起立筋(腰)

対策ストレッチ

股関節の前を伸ばし、反り腰を戻す

膝を抱える(右)
あお向けに寝て、右膝を両手で胸に引き寄せる。 反対の脚は床に伸ばしたまま、腰を床に押しつけるようにします。
おもに大殿筋・脊柱起立筋(腰)
腸腰筋(右脚を後ろ)
左脚を前に出して片膝立ちになり、右膝を床について、骨盤を前へ押し出す。 お尻を締めて骨盤を立てたまま前へ。腰を反らすと腰が伸びるだけになります。
おもに腸腰筋・大腿直筋

アプリでは、それぞれの対策の動きで使われる筋(赤)・伸ばされる筋(青)を3Dで再生し、ほぐす場所を番号の印で表示できます。

生活の工夫

  • 抱っこは左右交互に、赤ちゃんを体に近づけて
  • 授乳のときはクッションで高さを合わせ、前かがみを減らす
  • くしゃみや持ち上げる前に、骨盤底筋を軽く締める習慣をつける

こんなときは医療機関へ

強い腰痛や恥骨の痛みで歩きにくい、尿もれが続く、出血が続く、発熱がある場合は、産婦人科や整形外科を受診してください。

ここで紹介しているのは一般的な情報で、診断や治療の代わりにはなりません。痛みやしびれがあるとき、症状が続くときは医療機関を受診してください。ストレッチや運動は痛みのない範囲で行い、痛みが強くなる場合は中止してください。